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シン・ゴジラをStoryAIで解析してみた。

 さてみなさん、先日のプレスリリースは読んで頂けたでしょうか?もしまだでしたら、これを機にご覧いただければと思います。(プレスリリースはこちら
 
 さて、ラストランが始まったシン・エv……ではなく、今回ご紹介するのは、同じ監督作品の「シン・ゴジラ」です。まだ、ラストランに行けていないのですが、折を見て行きたいと思います。あと10億円頑張って、100億円達成してほしいですね。
シン・-をstoryaiで解析してみた。
 さて、庵野秀明監督の「シン・○○」シリーズですが、ゴジラ、エヴァ、ウルトラマン、仮面ライダーと来るので、しばらく1年単位で何かしらが出てくるのでしょうね。期待するのはヤマトとガンダム、鉄人28号、アトム、ゴレンジャーなど昭和の代表作があるのかなぁと、個人的には思います。
 
 さて、前置きはここまでにして早速解析結果を出していきたいと思います。その前に、一言。これはあくまで、我々の解釈であって、庵野監督の想いなどからの推測ではなく、パラメータからだけの判断である点をご了承ください。
 
 庵野監督の想いについては、パンフレットやさまざまな媒体で語りきっていると思いますので、そちらをご覧ください。
 
 現在、Amazon Prime Videoなどでも「シン・ゴジラ」や「新劇場版エヴァンゲリオン」共々ご覧いただけますので、ぜひご覧ください。
 
 認知バイアスに問わられない作品解説を早速始めていきます。
 

StoryAIによる解析結果

シンゴジラ
 
 こちら、発売されている脚本集からデータをおこして、解析しました。StoryAIは文字数よりも重要視しているのが行数です。全体で約1900行ほどあり、二時間半の映画の尺として考えても十分長く、大体三時間から四時間程度の分量だと考えられます。
 
 脚本特有の概念「柱=シーン」で考えると350を超える柱が存在し、この規模になると、昭和の名作「飢餓海峡」とほぼ同等であると考えられます。通常、平均して柱1個に対して1分と考えていきますので、普通に考えたら350分=6時間程になります。
 ただ、実際には、映像だけ一瞬映す場合も多いので、1秒ぐらいのシーンもありますので、あくまで目安、参考程度と捉えるべきです。ちなみに、ハリウッドの場合はA4 1枚 1分と考えて作る必要があり、これが守られないと、脚本段階で差し戻しになります。
 それぐらいハリウッドの時間管理は厳しいそうです。日本でも200字詰め原稿用紙や400字詰め原稿用紙で1分単位の換算をしたりする場合もあるのですが、厳密な運用をしている現場は少ないかもしれません。
 日本のファジー(死語)な現場感覚をより厳密に運用するように変えていかなければ、世界と互する作品は生まれないのかもしれません。
 

明確な三幕構成

 2300年前にアリストテレスが提唱したとされる三幕構成ですが、明示的にAパート、Bパート、Cパートと分割されています。(シド・フィールドやブレイク・スナイダー、ロバート・マッキーはそこから詳細に落とし込んだだけですし、ジョーゼフ・キャンベルやレヴィ=ストロースなどの神話研究家も行き着く先はここだと思います。)
 実際に映画を見ていても、ゴジラの登場、ゴジラ第四形態との戦闘と日本政府崩壊、立川からの逆襲とわかりやすい構成となっています。
 
 そして、その三幕が切り替わりのあたりに余韻を上手くつくっているのが庵野流と言えると思います。これはどういうことかというと、例えば三幕構成(神話理論ベース)の代表作スターウォーズなどは、幕の切り替わりの直前までどんぱちしていて、ピンチを切り抜けたと同時に数分間の余裕と、新しい危機を出してきて、ジェットコースターのような展開をするのがお約束です。(例えばEP7だと地上でファルコン号で逃げ切る→宇宙に行く→ハン・ソロと出会うが、宇宙生物に襲われる。)
 しかし、グラフを見てみるとわかる通り、Bパートの前後は、細かい上げ下げはあるものの大きくはぐだぐだな日本政府を演出しています。そして、それが伏線となっていて、一旦海に帰るゴジラで安心するものの、鎌倉からの再上陸→多摩川土手→内幸町→放射能発射→内閣総辞職→そして、立川へという流れになって、Cパートに繋がっています。
 この時のいわゆる、ドタバタ劇が間となって、それとは全く異なる異質が何も考慮せず全てを破壊していく展開になるからこそ、この大きな谷が物語っていると言えるでしょう。
 
 ちなみに、内幸町が焼き尽くされるシーンですが、あそこは実はその前の自衛隊が頑張るシーンよりも短いため、インパクトは強いものの、そこまで長い時間影響を及ぼしていないことがわかります。逆に言えば、CMや番宣などで切り取られて紹介されているシーンなので、我々の印象に強く残っていると言えると思いますし、シーン単体の作り込みという意味でもあのシーンは強烈なので、相対的時間が長く感じられますが、物理時間的には短いということになります。これを見ても分かる通り、物理時間と相対(体感)時間は異なるという事象については、シン・エヴァンゲリオンにおけるマイナス宇宙でも語られていることなので、ここら辺の量子的な時間感覚は庵野さんが意識していた事なんでしょう。
 
 私も自分の作品であるaugument arumaにおいて参照した、ロヴェリ博士の時間は存在しないすごい物理学講義 などで量子論と時間の相補性を学びましたので、何かしらのインプットはあったのでしょうね。
 
 それよりも、ここに至るまでの遺伝子工学的な知識を一次情報として手に入れられている点も見逃せません。同時に工学的な知識も大学と連携して入手されていますし、予算の壁を知識で補うという点においては、現代において庵野さんは第一人者とも言えるでしょう。(もちろん、様々な分野で深い知識で作られているものは沢山あり、ストーリーに知識を載せるというものが本当に価値があると、私は信じていたりします)
 

死と復活、そして最後の戦いと宝を持っての帰還

 これは、クリストファー・ボグラーが提唱した、十二分割論で読むと分かるのですが、Cパートの立川で臨時内閣が設立される部分が復活にあたります。ここから、最後の戦いに至るまで、ヤシオリ作戦を準備していくのですが、最後の戦いから得た宝は何かというと、ゴジラ再起動までの時間という束の間の平和という落とし所です。
 ここに最後の戦いが二つあるというのが味噌で、日本はゴジラという目に見えた驚異との戦いと、そのゴジラごと日本を消滅させようとしたアメリカを中心とした連合国軍、それを回避させたフランスという、実はCパートは国際問題への提議になっていたりします。
 そして、その現実が2021年現在のコロナとオリンピックの暗喩になっているのが皮肉だと思うわけです。
 

数値的な話

 我々が定義した感情値が最大が54、最低が10となっており、44もの幅のある作品は滅多に見られません。相当数測ってきましたが、ここまでアップダウンがすごいものはありませんでした。(この10はコーパス不足による計測ミスの可能性もあります)
 次に、右側に書いてある感情平均の値は上限約38ポイント、下限35ポイントでその差が3ポイントあります。この平均は長編作品になればなるほど引き伸ばされるため、そのポイントは低くなっていきます。
 弊社が先日リリースしたUlala Infinite Desire では最大幅が1.5ポイントに収まっており、感情差が倍もあるシン・ゴジラはさすがとしか言いようがありません。
 また、よく誤解されがちですが、数値が大きければ良い、低ければダメという話ではありません。作品の内容によって異なるべきであり、ゴジラはどちらかというと音楽で言えばマイナー傾向のダウナーな作品であるため、感情平均の値が40ポイントを下回って出ます。一般的な作品であれば45ポイントを中心に上下に動きますし、Ulalaであればアップテンポな話ですから、50ポイント付近をうろちょろします。
 つまり、その作品のカテゴリーによって数値は前後するため、数値自体に意味は無く、数値から生み出される波形がどうか、という点にあります。
 ここでよく言われるのが、それじゃ売れ筋の波形はあるんでしょ?出してよという話になりますが、その波形を出したところ、今度はその波形通りのものは中々に出せないこともわかっています。それよりも、自分の型を見つけることが大事です。
 著名な作家ほど自分の方をしっかり持っていて、誰にも靡くことはないな、というのが見て取れますし、適当に書いているなというシーンは、やはり平坦な動きになっていまし、むしろ、本人のデバッグツールとして使うべきなのかな?と思っています。
 

出だしが良ければ全てよし

 実はこのStoryAIを見ながら小手先で文章を書いても直せません。構造をいじらないと全体に影響が出ない作りだからです。
 なので、いじってもいじっても変化がない、改悪されたとなる場合もあるので、そういう場合は冒頭の入り方から変えてみると良いと思います。
 このシン・ゴジラ、やはりパニック映画だけあって、日常の崩壊から始まるため、雪崩のような波形を最初から出しています。
 このように作りたい作品・ジャンル・カテゴリーに対して、自分の筆のあり方があっているのか、技術が足りているのか、知識が足りているのかなどもチェックポイントになります。
 また、著名な作品ほど似たような波形が年代ごとに被ってくるというのはわかっているので、昔ながらの手法になりますが、良い作品を見て、読んで、写経してという流れはとても大事なのかもしれません。
 今回は大作なので、カイゼンポイントなどはあえて提示しておりませんが、今後はダメな波形(アンチパターン)なども出しつつ、どういう改善が出来るのかなど出していきたいと思います。(その場合はタイトルなどは伏せさせていただきます)
 

最後に、弊社ではシナリオのコンサルティングを受けております。

 弊社では、上記のような解析・分析・レポーティングを企業様から優勝でお受けしております。また、毎月1社様限定で、公開前提にはなりますが無償で解析・分析・レポーティングをお受けいたします。是非この機会にご活用ください。(お問い合わせフォームは本記事の最下段にございます)
 

本記事のグラフ

シンゴジラ2
 
 

StoryAIを使ってみませんか?

 
 上記のようなコンテンツ状態をグラフで把握し、チーム内で共有することで、コンテンツの中身をリリース前にPDCAで改訂していく事が出来ます。
 
 まずは、フリーでお試しください。法人様には特別なサポートやコンサルティングをおつけしたサービスをご提供しております。
 
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 Safariの方は表示されないため、お手数ですが、画面をスクロールしていただき「選べるプランをご用意しました。」まで進んでいただければと思います。
 また、今後は個人の方向けに、グラフの読み方、カイゼンポイントをセルフで行うためのセミナーも開催していきます。
 
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最後に、今後ストーリーコンサルタントの認定資格を設立しようと考えております。
我こそは、と思う方は是非ご一報ください。
 
本記事で利用している画像は djedjによるPixabayからの画像です。