今まで、個人と会社の線引がうまく出来ていませんでした。Socialの延長線上だったり、ブログもただ書けと言われて書いていたりと全然面白くない。だから続かなかったと言うのもあります。 ...
アメリカでは一般教養な神話理論
いろいろ語っている神話理論ですが、これはアメリカの大学では当たり前の一般教養です。
リベラルアーツに分類されていて、当たり前のロジックです。
ですので、海外のマーケティングやプレゼンテーションの書籍には当然のように、書いてあります。
では、どうして神話理論がリベラルアーツなんでしょうか?
答えは簡単です。
アメリカのエンターテイメント産業の最右翼である「映画産業」のためです。
アメリカのエンタメ産業の市場規模は約25兆円(2013年時点※1)です。
うち100億ドル程度が映画産業です。半分がテレビ産業になります。
これが2020年には29兆円まで上がると想定されいます。つまり、トヨタ1社程度の売上に相当するほどの規模だということです。
これにはおもちゃなどは含まれていません。
日本はその半分で12兆円程です。
構成比率は映画産業が2000億円程度なので、アメリカの約1/5程度です。
規模が半分で2割程度でしかないので、実感値としては1/10程度かもしれません。
アメリカの殆どの大学には映画学科があるそうです。
ですので、1年生で習う一般教養で取り入れていても当然だと思います。
(※1 経済産業省商務情報政策局 コンテンツ産業課 「令和2年2月コンテンツの世界市場・日本市場の概観.pdf」を参考文献として利用)
さて、この神話理論ですが、特殊なものと思う方も多いと思いますが、実際は黒澤明も東映も東宝もなんだかんだで使っていたりする手法だと思います。
これは映画を分解してみるとよくわかります。
ゴジラなんかではオキシジェン・デストロイヤーを使って、デウス・エクス・マキナで終わらせていたりしますが、それですら、アリストテレスの詩学(ポイエーシス)をベースに解釈して敢えて出したのではないか?と思うわけです。
元々、映画・文学の世界は教養がある人達が作っていた高尚な分野でした。古来より、文化の担い手は常に教養があったと思います。ところが、現在はどうかというと、創りやすくなった分調査にかける時間や基礎教養が低く、一軒よく書けているのかな?と思うと、2次創作3次創作だったなんてことも多発しています。
知識についても、リアルなコピー機と同じで、コピーのコピーは劣化します。
つまり、アニメなどで知った知識をそのまま使ってしまった、ネット小説などが消費すらされないのは、劣化した産物でしか無いからです。
また、過渡なオリジナル信仰がクリエイティブを駄目にしていると思います。
だれも知らない人間が作ったオリジナルなんてよほどのことがなければ読みません。
人は安心したいのです。
ですから、前提となる話の下敷きは著作権が切れた古典作品をおいてまず作ってみる必要があります。
そうすると、最初から神話理論に従っている可能性があります。
日本の映画や作品が海外に受けない大きな理由は、起伏が足りないのと、シーンごとに意味を付けないから、ダラダラダラダラと話が進行して、オチもないという作品が多いからです。
日本の作品ってそういうのだからと言われますが、明治の純文学だって三幕構成に従い、明確なオチを作っています。それに大体において売れている作品は殆ど神話理論ベースになっていると思います。
意識して作ったかどうかはさておいて、流れはほとんど従っているとわたしには見えています。君の名は。を先日見てきたとき、時間を図りながらこのシーンは何に当たるのかをチェックしましたが、きちんと話の中央で問題の核心に行き着き、ディレイクライシスとして隕石の落下、時間を巻き戻しての復活、隕石から住民を救う最後の試練、宝を持っての帰還として、ラストシーンの再開に繋がるわけです。
海外に受けている日本のコンテンツはマンガがほとんどです。
小説は村上春樹などごくわずかです。
だからこそマンガを原作と置いて映画を作るために買い付けに海外からやってくるわけですが殆ど買われません。
それはテンプレートのストーリーラインに乗っていないのでしょう。
それに、海外に受けていると言っても、全世界のエンタメ市場55兆円のうち2.5%、つまり1.38兆円程度です。
そのうち4000億円がマンガになります。
日本の出版マーケットは1兆6000億円なので、その1/4を占めるとなれば相当大きいと考えますが、国内マーケット全体の9%程度が海外比率となります。
これをどの程度引き上げられるのかが鍵となりますが、標準化された面白さを作り出さなければ、君の名は。のような局地戦での勝利しか出来ないでしょう。
私達が目指すべき未来はそうではありません。
根本的な筋は世界標準として、その上で日本らしさを表現できるよう、私達も取り組んでいきます。