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ビジネスの基礎は業界を問わず学べる

 先日、牛角や温野菜、土間土間などで有名なレインズインターナショナルの元社長で、現ダイニングイノベーションの西山さんの話を聞きに、CFOコンサルティングさんのセミナーに伺いました。前の打ち合わせがあったので、西山さんの時間だけ調整して伺ったのですが、大盛況でした。
 
 飲食の、特にFCのあり方についての講演だったのですが、本質をついた濃い内容だったので勉強になりました。
 
 本当はスライドとか写真を取ったので共有したいのですが、どこまで許可が出ているのかわからなかったので、掲載せずに、とりあえずかいつまんで説明することにします。
 

強い業態を作れ!

 強い業態を先に作れと何度もおっしゃっていました。強い業態とは売上が伸びる業態です。我々のビジネスではビジネスモデルと呼んでいるものです。これが出来て、初めて強い経営が必要となると言っています。
 
 そして、売上が勝手に伸びる状態になって初めて組織づくり、経営管理、マーケティング、そしてそれを各階層ごとにきめ細やかに伝えるためのコミュニケーションが成立するそうです。
 
 まさに、結論から先に出してもらえる素晴らしい公演です。そうすると、その結論に沿って各論の話になっていきます。
 
 さて、強い業態はどうしたら作れるのでしょうか?それは立地の問題もさることながら、単一業態を徹底的に磨き上げることにあるそうです。複数の業態を最初から手広くやると利益率が改善しないので発展性も薄いそうです。
 
 この利益率とは、業務改善のなせる技なので、オペレーションを最初の3ヶ月で毎日改善していくしか無いらしく、別業態にするのは100〜200店舗程だして、安定的に成長できるようになってから初めて、次の業態に展開させていきます。
 
 具体的すぎて目から鱗が落ちました。これはインターネットサービスもそうです。徹底的にカイゼンを繰り返してから新機能を実装すべきだと思います。わたしはカイゼンをせずに新機能をつけてしまったので、顧客を完全に見ていませんでした。
 
 西山社長は、お客様の喜ぶ姿がみたいという創業理念を貫くためにあらゆることをする姿勢こそが大事だと説きます。納得しました。なぜうまく行かなかったのか。
 

売上と利益、社員のモチベーション

 さて、続いて売上と利益でどちらを取るのかという話では圧倒的に利益だといいます。
 
 続いては社員のモチベーションコントロールです。結局のところ、やらされていると思うからモチベーションが上手くコントロールできないので、自発的に仕事をしてもらうためにどうするのか、という話になります。
 
 そうすると、やはり、誰しもが理解出来る理念が重要となってきますし、そこをどうやってアルバイトも含めて全体に周知させるのかが鍵になると言います。結局のところ、それをやるためには縦に深く一つのことを突き詰めるしか無いということらしいです。
 

KPIより先にあるのはQSC

 次にKPIを使ったPDCAのあり方を説明頂きました。非常に面白いなと思ったのは、最初に車のダッシュボードをだされて、車のダッシュボードは最速で目的地につくように必要最小限のデータしか表示していないんだと云います。なるほどと思いました。
 
 そして、次に自分たちが使うKPIを出されました。7項目位あるのですが、そこが重要なんじゃなくて(ここは業態によって変わるし、会社の方針によっても違うので自分で考える所)、本部と店長の仕事の切り分けが完ぺきにできるようになるためだといいます。
 
 つまり、店長に頑張って売上立てろというと、QSC(クオリティ、サービス、クレンリネスの略)が出来ていない店長でも売上を上げる方法を考えついて、サービスの本質に立たず、FC全体のイメージダウンをさせてしまうため、それでは駄目だといいます。
 
 なので、まずは飲食の基本であるQSCを徹底させた上で、このKPIを使って、これらを達成すれば勝手に売上と利益が伸びるという状態を作り出すことが本部の仕事だと云います。メニューも勝手に作らせない、料金も変えられない、でも顧客単価を上げることは出来ます。
 

クロスセルをするのは当たり前

 いわゆるクロスセルなんですが、牛角で言えば焼肉を食べ終えた際にアイスクリームを追加するなどがそれにあります。そもそも焼肉屋のアイスを食べたことがある人は少ないので、これを新規顧客に追加するだけで売上が伸びるというわけです。
 
 わたしも携帯電話会社にいたことあるので、KPIとアップセル/クロスせるの概念は叩き込まれたんですが、ここまでしっかりとコントロールさせるビジネスははじめてみました。ソリューションビジネスが長いため、どうしても現場の営業マンが売上をどうひねり出すか、SEはどうやって利益を生み出すか(コスト削減や工程の見直しなど)を考えたりするので、間違いも多く発生します。
 
 しかし、このKPIを日時トレースしながら、カイゼンを行えばボラティリティは低減するという話は納得感がありました。もちろん、この数字は全国一律ではなく地域粒度をつけていて、渋谷と千葉では倍ぐらい設定値が違うのですが、そういう細かい管理こそが飲食の生命線であるという事が理解できました。
 

マーケティングは細かいセグメンテーションから

 その次はマーケティングに入っていきます。業態によって違うのですが、牛角などの業態は大きく4つのセグメントに分かれ、それらが複合的に入ってくるため、それぞれごとに食べるメニューが異なり、その顧客ごとに合わせたメニュー開発が必要となります。
 
 そのため、資料にもかならず対象ユーザーイメージが分かるような写真を掲載しています。とにかく利用シーンを具体的にイメージせよという話であり、我々の業界ではペルソナと言っている部分ですね。
 
 そして、個人的に一番おぉ!と思ったのが、広告の使い方です。季節粒度の問題をざっくりやっていないかという話でした。もっと細かく52週間のカレンダーで分析すべきではないかと言っています。
 
 そして、広告を投下するところと、地道に集めたメールアドレスやLINE@を使って顧客の来店を促すときを使い分け、広告費用の最大化を目指してやっていると言っています。いつもまんべんなく広告を投下しても効果は出ないので、集中して刈り取る時に一気に刈り取るべきだと説きました。
 
 そして2月、6月、11月の人が動かない時はお金をかけないメルマガ限定サービスなどで集客するというやり方です。これは、多分インターネット業界でも当てはまる部分が多いと思います。季節的な問題をちゃんと考えて、静と動のマーケティング戦術を考えるべきかと思います。
 

立地は念入りにデータを集める

 続いては、立地を決めるためのメソッドでした。答えは
  1. 駅のポテンシャルを調べる
  2. 競争環境をデータで見る
  3. 類似競合店の調査をする
  4. 通行料/視認性の確認をする
  5. 事業計画書を作る
 となります。
 
 細かい話はありましたが、とにかく調査を徹底的にするべしということです。ターゲットを決めたら、そのターゲットが確実にそこにいるのかということから、ライバルの見極めなど、レッドオーシャンだからこその戦い方があるというわけですね。
 
 私たちの業界だとブルーオーシャンを見つけることばかりに集中しがちですが、レッドオーシャンでも定石を身に着けて戦えば戦えるというわけですね。と言うか、そもそもレッドオーシャンで戦っていたのですが、最近ずっと賢者の石を産み出すようなことばかりしていたので、新鮮に聞こえましたが、これが当たり前なんですよね(笑)
 

会社の理念をバイトまで伝えられるか

 そして最後に、会社の方針(=理念や今後の行動指針)が末端までちゃんと伝えられる仕組みを持っているのかです。ここが、題名のところになるのですが、だいたいアルバイトはお金のためにやってきます。
 
 ですが、お金のために働こうとすると辛くなります。なので、まずは理念に共感した上で顧客を喜ばせる想像ができた段階でアルバイトするのかでは大分違います。一番簡単な例をあげていましたが、年末年始の夜間にトラックの誘導している人とディズニーランドのキャストの違いをおっしゃっていました。
 
 顧客満足度が最高に高まっていた時の顧客満足度のために働くキャストたちと金のために働いて精神的に疲れている人では雲泥の差があると。その差は根底にある理念の共有だということです。
 
 ここについては、わたしも昨年、私の理念でついてきてもらったと思ったのですが、やはり最後はお金になってしまいました。ただ、一つ言えることは私も途中から色々言われて、曲げてしまった部分があったのは事実です。ですので、ぶれない根っこのようなものをきちんと伝えていく必要があります。
 

会議とは議論する場ではなく伝達する場所

 最後に意外だったのは、会議体は重要というIT業界とは真逆の事を言っていました。ただ、この会議体とは議論する場ではなく伝達する場のこと。そのため時間はそれほどかかりません。つまり軍隊式に近いと思われます。
 
 より全体主義的な価値観の植え付けなのか、民主主義的な価値観を作り上げていくのか、そこに文化の差が見え隠れしますが、FCまで組織するというのはルール作りなので、ふつうの飲食店をやるのとはまた違うんだということですね。
 
 実際、現在のダイニングイノベーションさんでは、MBAホルダーと西山さんが相談して作り上げた現実的な数値管理FCビジネスらしいので、30年で積み重ねた経験とMBA的な管理手法が融合するとすごみを感じるシステムが出来上がるんだなと勉強になりました。
 
 また、最後はFCビジネスの宣伝でしたが、フランチャイズだけで数百億の売上をもって上場する企業が出てきていて、これをメガフランチャイジーと言うそうです。ですから、ビジネスというものは0から発掘するだけでなくオペレーションも極めればまた違うということですね。
 

異業種の勉強会は宝の山

 ほんとうに勉強になりました。みなさんも異業種の勉強会やプレゼンテーションには積極的に参加したほうが、学ぶべきことがたくさんあって良いと思います。この3日感、酒、野菜、飲食とFCについて学びましたが、どれもためになることでした。凝り固まった知識をほぐして知恵に昇華させるためにもこういう出会いを大切にすべきですね。
 
 ところで、なんでこの話を聞きに行ったかというと、実は元々のコンセプトが集めたコンテンツのイグジット先が無いと駄目だよねずっと言っていて、オフライン版のネットフリックス作らないと行けないのではないか、それもコンテンツだけで成立させるのは難しいので料理だけでも成立させるように設計しないと、より多くの人にリーチが出来ない可能性が高いと思い、検討をしていました。
 
 そこで、今回このタイミングでカリスマの話を緻密に聞くことが出来たため、準備すべきことが明確になりましたから、非常に勇気を得たところです。
 
 

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