広告を使わず、1000万ダウンロードを達成する唯一の方法

ハードウェアの普及でスマートフォンアプリ業界はその隆盛のピークに達している。その原動力になっているのがスマートフォン広告である。しかし、そのうちリワードと呼ばれる、報酬提供型の広告が非常に使いづらい状況に陥ってしまい、各社DL促進戦略を練り直しているのが実情だ。そんな中、広告を使わずに30日間で1,000万DLを達成したアプリもある。カジュアルゲームのBrain Dotsである。

■Barain Dotsとはどんなものか?

Brain Dotsは昨年もご紹介したトランスリミットのBrainwarsの弟分である。ポリシーは変えずよりカジュアルにゲームとして成立させている。離れて配置されている2つの色違いのドットを創意工夫して、ぶつけるだけだ。非常にシンプルだが、パズルとして奥深い仕掛けが存在し、だんだん脳汁が吹き出てくる感覚が楽しい。Brain Dotsはリリースした7月6日から10日で100万DL、30日経過した8月6日に1,000万DLを達成したが、一切の広告を使っていないことを売りしている。前作もそうだったが広告費を使わないというのはスタートアップとしては勇気のいる決断かつ、理想的な展開だ。明日尽きるかもしれない資金とにらめっこをする必要がないわけであり、その費用を社員の採用やファシリティの改善につなげればよい。

本作品はリイカ社のQというパズルゲームに酷似していると言われるが、ドットを当てるだけの仕組みに特化しており、いわゆるパクリではない。Qは1月9日にリリースしてから3月3日までで500万ダウンロードを達成したが、それ以降のニュースリリースは無い。
<参考>電撃App:『Q』DL数は500万を突破。300万DL突破記念の新問題60問が無料配信中

Qはソーシャルネットワーク上で攻略したという画面キャプチャを共有してバイラルを狙っているが、Brain Dotsは攻略経過をYouTubeにアップロードさせ、攻略情報を共有している。これが軒並み再生数が高い。多いものでユーザ同士によるweak-tiesを実現しており、強制されない見えないSNSがそこには存在する。

■AngryBird2は4日で1,000万DLを達成

Brain Dotsの8月6日付のニュースリリースでは30日で1,000万ダウンロードとなっていた。また、前作同様グローバル比率が非常に高く96.25%である。ただ、大きく違うのは前作はアメリカが全体の3割を占めていたにも関わらず、今作では10.9%と韓国についで2位である。3位はロシアとなっており、中国の存在感が下がっているところが面白い。ちなみに、日本の比率は3.8%と前作の5%から更に低くなっている。

主に韓国やロシアをはじめとした海外からの利用が伸び、全ユーザに対する海外比率は96.25%を占めております。

<参考>トランスリミット:Brain Dotsがリリースから1ヶ月で1000万ダウンロードを突破、海外ユーザ比率は95%超より抜粋

では、1,000万DLがどれぐらい凄いのかという表を以下のとおりまとめてみた。ご覧頂くと最速ではないのが分かるだろうか。

国内だと、29日でLINEゲームのクッキーランが達成している。また、コロプラの白猫プロジェクトが47日で達成した。ただ、一番すごいのはAngryBird2で、たった3日で達成後、最初の1周間で2000万DLに到達したことを発表している。ただ、これには当然理由があり、Brain Dots以外はすべて既存作品が数千万、数億、十数億ものユーザー付いている、数億人のプラットフォームを持っている、無尽蔵の広告費を投下している、リセットマラソンも換算していると、大企業だからこそ出来るパワープレイをしている。

<参考>
GAME SPARK:世界的人気を誇る『Angry Birds 2』配信5日目にして1,000万ダウンロードを記録
Rovio:FEATHERS FLY AS ANGRY BIRDS 2 DOWNLOADED MORE THAN 20 MILLION TIMES IN FIRST WEEK
LINE:[LINE GAME] スクロールランアクションゲーム「LINE クッキーラン」がサービス公開から30日で世界1,000万ダウンロードを突破
コロプラ:コロプラの『白猫プロジェクト』が累計1,000万ダウンロードを突破 ~サービス開始から47日で1,000万DL達成!アプリ内にて記念キャンペーンを実施~

しかし、Brain Dotsは一切そういったお金を使っていない。またモンストやパズドラの様にテレビCMを打ったわけでもない。では彼らはどうやってダウンロード数を伸ばしたのだろうか?それは各国のiTunesに取り上げられることである。Appleはユニークなアプリを優先的に取り上げるというロジックを持っており、非公開だがその一定基準を満たしている優れたアプリはトップに掲載される。そこから一気にDLされていくというのが最近の傾向だ。

ゲーム専用機で開発してきたゲーム開発会社は、従来とおなじ感覚でApple等にリリース前に相談するため訪問するようだ。しかし、公平性を重視するAppleやGoogleは話を聞くものの特別なアプリプロモーションを行うことはしない。最近GooglePlayが検索連動型広告を入れてきたが、やりたければルールに従ってお金を支払いなさいというのは正しい流れである。そこに悩むならば、ユニークで万人受けするゲームをしっかり作りこむことが大切だ。

■ユーザに寄り添ったゲームが今後も生き残る

Brain Dotsが他のゲームと一線を画すのは、広告の見せ方である。広告業界に長くいる人でも感心するぐらい上手い動線を引いている。ゲーム内コインはゲームクリア時と、ステージクリアまたは失敗時の画面に表示される動画広告を閲覧した時だけ、得ることが出来る。同様のカジュアルゲームではプレイの邪魔になり、誤タップさせるような広告の出し方が一般的だったが、最近はクオリティ重視の方向性が強まり、シンプルかつゲームならゲームの広告を表示するような運用をしている。

マネタイズは企業を生き残らせるためにはとても重要だ。課金なのか広告なのか。Brain Dotsにも課金要素はあるが必須ではない。主としては広告であり見せ方の問題である。広告もクリエイティブの一部だと考えるか、繁華街の看板と同じだと考えるかによりブランドの作りが変わってくる。いわゆるトンマナをどのように制御すべきかは今後の課題だろう。

私も本件を通していろいろ考えた。非ゲーム領域で同様の方法でユーザを獲得できないかと模索中だ。広告以外の方法でファン化させるための方策を考えていかなければ、無尽蔵に広告費を使える大手との戦いでは更に差が出てくるだろう。

他社の動きをよく研究し、自社の一手に加えていく事が大切なことだ。